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一般企業の障がい者雇用、20時間の原則が10時間になりつつあるって知ってた?

コンビニでもらったレシートを、なんとなく財布の奥にしまい込む。たった数百円の買い物をして帰るだけなのに、人混みを歩き、レジで店員さんと一言二言やり取りをするだけで、ひどく体力を削られたような気がしてしまいます。玄関のドアを閉めた瞬間、そのまま崩れ落ちるように座り込み、しばらく動けなくなってしまう。そんな「自分だけが持っている、目に見えない疲れ」を抱えながら、ふと「私はこの先、みんなと同じように働ける日が来るのかな」と、出口のない問いを自分に投げかけてしまう夜はないでしょうか。

20代、30代という時間は、スマートフォンの画面を開けば同世代の誰かの活躍が嫌でも目に入ってくる時期です。友人がキャリアを築いたり、忙しくも充実した毎日を送っていたりする姿が眩しく見える分、自分の立ち止まっている場所が、余計に暗く、静かすぎる場所に感じてしまうこともあるかもしれません。「週5日、フルタイムで朝から晩まで働くのが当たり前」という、世の中に溢れている大きな物差し。それを無理に自分に当てはめて、うまく測れない自分を、まるで欠陥があるかのように責めてしまう。その痛みは、目には見えなくても、確実にあなたの心をすり減らしています。

でも、今のあなたに本当に必要なのは、無理にその大きな物差しに自分を合わせることではありません。今の自分を否定せずに、あなたにちょうどいい「新しい物差し」を一緒に見つけること。実は、あなたが玄関で動けなくなっている間にも、社会の側にある制度や働き方の仕組みは、少しずつ、ですが確実に変わり始めています。以前よりもずっと、あなたの「今の体調」や「できる範囲」を尊重しようとする動きが広がっているのです。

今日は、今の生活リズムを壊さずに、自分を大切にしながら社会とゆるやかに繋がり直すための「週10時間」という新しい働き方の選択肢について、ゆっくりとお話しさせてください。焦らなくても大丈夫です。まずは、その「一歩」がどれくらい低くなっているのかを知ることから始めてみませんか。

10時間という数字が教えてくれる、これからの『無理しない』働き方

これまで、企業で「障がい者雇用」として働くことを考えたとき、そこには一つの大きな、そして高い壁がありました。それが「週に20時間以上」というルールです。週20時間というと、例えば1日4時間を週5日。あるいは、1日5時間を週4日。体調が良い時であればこなせるかもしれませんが、朝起きるのがやっとという日があったり、気圧の変化で寝込んでしまったり、心のざわざわが止まらなくなったりする波がある方にとっては、この「20時間」という数字は、あまりにも重く、社会との距離を遠ざける大きな原因になっていた面があります。

「20時間働けなければ、雇ってもらえない。戦力にならない」そんな風に感じて、求人票を閉じてしまった経験がある方も多いはずです。しかし、近年の大きな変化によって、この壁がぐっと低くなりました。週に10時間以上、20時間未満という「超短時間」の働き方であっても、企業側がしっかりとその人を「大切な仲間」として迎え入れ、評価しやすくなる仕組みが整えられたのです。

これは、単に「働く時間が短くて済むから楽ですよ」という単純な話ではありません。「短い時間から始めて、少しずつ環境に慣れていく」という、人間として当たり前で、かつ丁寧なステップが、社会という大きな仕組みの中で正式に肯定され始めたということなのです。例えば、火曜日と金曜日だけ通う、あるいは午前中の2時間だけ集中する。そんな風に、自分の体調の波と相談しながら、自分との約束が守れる範囲からスタートすることが、今の時代には立派な選択肢の一つとして認められています。無理をして20時間働いて1ヶ月で倒れてしまうよりも、10時間をずっと守り続けることの方が、今の社会は高く評価しようとしています。

短い時間であっても、あなたがそこに存在し、何かを表現することには価値がある。そんなメッセージが、この10時間という数字には込められている気がしてなりません。

なぜ『今』、短い時間から始めることが自分を助けるのか

なぜ今、この短時間という働き方がこれほどまでに注目され、大切にされているのでしょうか。それは、精神的な繊細さや、発達の特性を持つ方が、これからの人生を歩んでいく上で最も大切にすべきなのが「持続可能性」だからです。つまり、どれだけ「続けていけるか」という視点です。

私たちは、何かしようと思うと、つい100点満点を目指してしまいがちです。「働くなら、毎日行かなければならない」「みんなに迷惑をかけてはいけない」と自分を追い込み、一度に全力で頑張ってしまいます。でも、その頑張りが強ければ強いほど、反動も大きくなります。1ヶ月で燃え尽きてしまい、また長いお休みが必要になってしまう。そんなサイクルを繰り返すと、どうしても「自分はやっぱりダメなんだ」という、自己否定の気持ちが強くなってしまいますよね。

でも、週10時間というゆとりを持った働き方は、そのサイクルを断ち切るための強力な助けになります。心地よい疲れを感じる程度の作業を、細く、長く続けていく。その「続けられている」という事実こそが、失いかけていた自分への信頼を、少しずつ、確かなものへと変えてくれます。週10時間の枠組みは、今の生活の安心を守りながら、外の世界とゆるやかに繋がっておくための「命綱」のような役割を果たしてくれるのです。

「自分はまだ、周りの人のように機敏には動けない」と、自分を責める必要は全くありません。むしろ、この短い時間という枠を最大限に活用して、自分だけの「取扱説明書」を作り上げる時期だと考えてみてはどうでしょうか。どんな環境なら心が落ち着くのか、どんな言葉をかけられると不安になるのか、どの時間帯なら集中しやすいのか。それを探るための「自分自身の研究の時間」が、週10時間というゆとりの中に隠されています。この研究を丁寧に行うことが、結果として、将来のより安定した働き方へと繋がっていくのです。

スマイルラボで見つける、あなただけの『作る』のペース

私たちスマイルラボは、兵庫県尼崎市という場所で、皆さんのこうした一般就労に向けた「最初の一歩」を支える活動をしています。就労継続支援B型という場所ですが、ここで行っているのは、単なる訓練ではありません。イラストを描いたり、アクセサリーを制作したり、Webメディアの記事を考えたり。あるいは、それらを海外へ届ける準備をしたり。何かを「作る」という仕事を通じて、自分なりの社会との接点を作っていく場所です。

スマイルラボでも、何より大切にしているのは「あなたのペース」です。最初から「週10時間、完璧にこなしてください」なんて言うことはありません。今日は1時間だけ、大好きなイラストのラフを描いてみる。残りの時間は、静かなスペースで好きな音楽を聴きながら心を整える。あるいは、今日はアクセサリーのパーツを3つだけ繋げてみる。そんな、グラデーションのある過ごし方が、私たちの日常の風景です。

不思議なことに、指先を動かして何かを作っている時間は、頭の中のざわざわした不安や、過去の嫌な記憶が、少しだけ遠のいていくことがあります。何かに没頭できる「作業」があることで、自分を取り巻く世界が少しだけ静かになり、落ち着きを取り戻せる。そんな「静かな時間」が週に数回あるだけで、生活の景色は驚くほど変わっていきます。スマイルラボは、その静かな時間を積み重ねていくための、温かい繭のような場所でありたいと考えています。無理に外の基準に合わせるのではなく、あなたの内側にあるリズムを、私たちは一番に尊重します。

誰かと比べるのではなく、昨日の自分、あるいは1時間前の自分と向き合う。そんな風に、ゆっくりと「作る」喜びを育んでいける環境を整えています。

ここで、少し専門的な仕組みについても触れておきますね。難しい話ではありませんが、知っておくと「お守り」になる情報です。

やさしい専門用語のコーナー:週10時間雇用のルール

「週10時間雇用(算定特例)」とは、週の労働時間が10時間以上20時間未満であっても、企業が「障がい者雇用率」を計算する際に、その人を「0.5人分」としてカウントして良いですよ、という新しい決まりのことです。

これは決して「あなたの価値が半分である」という意味ではありません。むしろ逆です。「短い時間であっても、その人が働きやすいように企業側がしっかりと工夫し、環境を整えてください」という、国から企業への強いお願いであり、サポートなのです。

つまり、今日のあなたにとっては、「フルタイムの求人を無理に探して絶望する必要はなく、自分の体力に合った小さな、でも大切な役割からスタートしても、社会はそれを心から求めている」ということになります。

焦らず、でも一歩だけ。相談という入り口を叩いてみる

もし今、この記事を読みながら、胸の奥で小さな熱を感じたり、「週10時間なら、私も少しだけやってみたいかも」と、ほんの少しでも感じたりしたのなら、それがあなたにとっての「一歩目」のサインかもしれません。その小さな気持ちを、どうか大切にしてあげてください。

いきなり一般の企業に応募して、面接を受けて……というプロセスが、今のあなたにとってあまりにも高く、険しい壁に見えるのは当然のことです。そんな時は、まず「就労継続支援B型」という、より守られた、安全な場所からスタートすることを選んでみてください。B型事業所は、無理に雇用契約を結ぶ必要がなく、自分の体調を最優先しながら「働くこと」に触れられる場所です。

そこで自分の「できること」や「好きなこと」を再確認し、生活のリズムを少しずつ整えていく。そうして自分の土台を強くしてから、次のステップを考えても、決して遅すぎることはありません。人生は、誰かと競うレースではないからです。

20代、30代という時期は、確かに周りとの違いが気になり、焦りやすい時期です。でも、長い人生を俯瞰してみれば、今は無理に走り出す時ではなく、自分らしく歩き続けるための「基礎体力」と「自信」をゆっくりと養うための、とても大切な準備期間です。週10時間という、一見すると小さく見える選択肢が、実はあなたのこれからの人生を大きく支える、揺るぎないお守りになってくれるはずです。

あなたは一人ではありません。尼崎の空の下、同じように「自分らしい歩幅」を探している仲間が、スマイルラボにはたくさんいます。まずは、あなたの今の気持ちを、誰かに話してみることから始めてみませんか。その勇気が、あなたの明日の景色を、ほんの少しだけ明るく照らしてくれると信じています。


スマイルラボは、尼崎の就労継続支援B型事業所です。イラスト制作・Webメディア制作・アクセサリー制作など「作る」仕事を、あなたのペースに合わせて進められる環境づくりを大切にしています。見学/体験/相談は、公式サイトからお申し込みください。

Tips※本文で触れている「週10時間からの雇用(算定特例)」は、厚生労働省の障害者雇用制度において、週所定労働時間が10時間以上20時間未満で働く場合でも、一定の条件を満たすと企業の障害者雇用率の算定対象となる仕組みを指しています。
この算定特例の対象となるのは、重度の身体障害者・重度の知的障害者・精神障害者等に該当する場合です。
また、週20時間という区切りは、雇用率制度上の算定や企業の雇用設計に影響してきた目安であり、週20時間未満での就労や雇用自体が法律で禁止されているわけではありません。
制度の詳細や適用可否については、個々の状況によって異なるため、ハローワークや支援機関等への確認をおすすめします。

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