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何から話せばいいか分からない心を整理する「相談の順番」と場所の選び方

ガタンゴトンと揺れる電車の車内。ふと顔を上げたとき、ドア横にある駅のポスターに目が吸い寄せられることがあります。そこには「ひとりで悩まないで」という優しい文字と、どこか遠い場所にある相談窓口の電話番号。あるいは、役所の掲示板で見かける「自立支援」や「生活相談」という、少し堅苦しいフォントの案内。

その文字を目にするたび、胸の奥がチリチリと痛むのは、きっと今の自分に「助けが必要かもしれない」という自覚があるから。でも、揺れる車内でその番号をスマホに打ち込む勇気は出なくて、指先が固まったまま次の駅に着いてしまう。そんな静かな葛藤を、あなたは何度も、何度も繰り返してきたのではないでしょうか。

ポスターに書かれた言葉は正論だけれど、今の自分には少し眩しすぎる。あるいは、そこに書かれた「お悩み」の例に、自分の苦しさが当てはまらない気がして、余計に孤独を感じてしまう。そんなときは、無理にその番号へかけようとしなくて大丈夫です。まずは、その眩しさや痛みを敏感に感じ取ってしまうほど、今日まで一人で頑張り続けてきた自分を、毛布で包むように労わってあげるところから始めてみませんか。

自分の「今」を言葉にできないのは、心が懸命に守ろうとしている証拠

身近な人から「何かあったら相談してね」と言われても、自分の中で何が一番の悩みなのかが、厚い霧に包まれているような感覚になることがあります。仕事が続かないことなのか、朝起きられない体調のことなのか、それとも、誰とも繋がっていないような底なしの不安なのか。それらが幾重にも絡み合っていると、どこか一箇所を解こうとするだけで、指先に力が入りすぎてどっと疲れてしまうものです。

「言葉にできない」というのは、決してあなたが怠けているわけでも、コミュニケーションが苦手なわけでもありません。むしろ、これ以上傷つかないように、心が必死にシャッターを下ろして自分を守ろうとしている証拠でもあります。駅のポスターを見かけて「自分には関係ない」と目を逸らしたくなるのも、今のあなたにとって、それだけ「誰かに打ち明ける」ことが大きなエネルギーを必要とする作業だからです。

相談のハードルを下げていい。完璧な「説明」は、後回しで大丈夫

最近の福祉の現場では、かつてのような「本人が困りごとを整えてから相談に行く」スタイルから、少しずつ形が変わってきています。大切にされているのは「伴走支援」という考え方です。これは、あなたが完璧なプレゼン資料のような説明を用意するのではなく、支離滅裂なままでいいから、今のしんどさを一緒に「ああでもない、こうでもない」と整理していく姿勢を指します。もし「何に困っているか分からないけれど、とにかく苦しい」という状態であれば、そのままの言葉を差し出してもいい場所が、実はたくさん用意されています。

迷ったときの優先順位。あなたの「一番近い場所」から糸を解く

では、実際にどこから手を付ければいいのか、相談の「優先順位」を考えてみましょう。

まず、一番に検討したいのは「今の自分に物理的・心理的に一番近い場所」です。もし既にお薬を処方されていたり、通院をしていたりする場合は、主治医やクリニックのソーシャルワーカーさんに「生活のことがしんどい」と伝えてみてください。彼らは医療の専門家ですが、同時に地域の福祉サービスとあなたを繋ぐ「ハブ(中継点)」の役割も持っています。

もし、どこにも繋がっておらず、役所の窓口に行くのはハードルが高いと感じるなら、匿名で利用できるチャット相談やメール相談から始めるのも一つの手です。顔が見えない、声を出さなくていいという環境は、言葉が喉に詰まってしまう方にとって、とても優しい入り口になります。大切なのは、最初から「解決」という正解に辿り着こうとせず、まずは今の重荷をどこかへ「預ける」という感覚を持つことです。

ここで、相談を考える際に知っておくと少しだけ心が軽くなる言葉を整理してみましょう。

【用語定義:基幹相談支援センター】

お住まいの市区町村に必ず設置されている、福祉の「総合案内所」のような場所です。障害の種類や手帳の有無を問わず、生活全般の「どこに相談すればいい?」を一緒に考えてくれます。

【誤解しやすい点】

「診断名がはっきりしていないと、こうした場所を使ってはいけない」と思い込んでいる方が多いのですが、実はそんなことはありません。今の困りごとが、どんな制度やサポートに当てはまるのかを確認する段階から、相談員さんと一緒に動くことができます。いわば、地図のない場所で一緒に方位磁石を見てくれる存在です。

【生活への翻訳】

つまり今日のあなたには、まず「窓口の名前を検索して、ブックマークに入れる」だけで、もう十分すぎるほど大きな一歩だということです。具体的な説明や手続きは、後から専門家と一緒に、休み休み作っていけば大丈夫ですよ。

「何もしない時間」を支えてもらうために、相談先を分散する

誰かに頼ることは、決してわがままではありませんし、あなたの能力不足を証明するものでもありません。むしろ、自分一人では見えなくなってしまった「休むタイミング」や、活用できる「社会の資源」を、客観的な視点で見つけてもらうための、とても賢い知恵です。

特に20代、30代という時期は、周りの友人がライフステージを変えていく様子が目に入りやすく、どうしても自分と比べて「停滞している自分」を責めてしまいがちです。だからこそ、相談先を一つに絞り込んで、その相手にすべてを理解してもらおうと気負わないでください。生活のことはAさん、体調のことはB病院、そして「ただそこに居てもいい場所」としてC事業所、というように、頼れる場所をあえて分散させて「小出し」にすることが、心を軽くするコツになります。

「説明しなくていい」場所を、日常の中に持っておくという安心感

尼崎にある就労継続支援B型事業所スマイルラボでも、最初から「バリバリ働きたい!」と目標を掲げて来られる方は、実は多くありません。「家以外の場所で過ごす時間を少しずつ作りたい」「自分も何かを変えたいと思ったけれど、何ができるか分からない」という、淡い願いのようなお話から、ゆっくりと一緒に進み始める方がほとんどです。

私たちは、イラストを描いたり、アクセサリーを作ったり、Webメディアの制作に携わったりと、さまざまな「作る」作業を提案していますが、それ以上に「あなたがあなたのままでいられるペース」を守ることを大切にしています。作業の手を止めて、今の気持ちを整理する時間が必要なら、それを優先してもいい。そんな「余白」がある場所を日常の中に持っておくだけで、不思議と駅のポスターの文字も、少しずつ自分に向けられたエールのように見えてくるかもしれません。

あなたの今のしんどさは、決してあなただけの責任ではありません。社会の仕組みや、タイミングや、体質の揺らぎが重なって、たまたま今、足が止まっているだけです。駅のポスターを見かけて胸がキュッとしたその感覚は、あなたが心のどこかで「自分を助けてあげたい、もっと楽にさせてあげたい」と願っている、とても優しくて強いサインです。

そのサインを、どうか無視しないでください。でも、急がなくても大丈夫。まずは温かい飲み物でも飲みながら、今日この文章を最後まで読んだ自分に「よく頑張ったね」と言ってあげてください。少しずつ、順番に、あなたのペースで頼れる場所を増やしていきましょう。

スマイルラボは、尼崎の就労継続支援B型事業所です。イラスト制作・Webメディア制作・アクセサリー制作など「作る」仕事を、あなたのペースに合わせて進められる環境づくりを大切にしています。見学/体験/相談は、公式サイトからお申し込みください。

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